Zwift Cogの種類と既存スマートトレーナー・アプリとの互換性ガイド
更新日:2025-01-17公開日:2024-12-16
シングルギアで物理的な変則をしないでバーチャルサイクリングを楽しめる「Zwift Cog and Click」を徹底解説!バージョンの違いやトレーナーとの互換性、Zwift以外のアプリでの使用など。
Zwift Cogとは何なのか?
Zwift Cogは至極単純に言うと、「位置調節が可能なリア14Tのシングルギア」です。Zwift Cog自体には負荷調整機能もなければ、Bluetoothでデバイスと通信する機能もありません。
では、既存のスプロケットでも14Tを使えば良いじゃないかという話ですが(実際にそうしているユーザーもいるとか)、既存のスプロケットではなくZwift Cogを使うメリットとしては、
- リアの位置調整ができる
- カバーがあるので絶対チェーン落ちしない
- 歯が分厚くて丈夫
と言う点でしょう。
また、スマートトレーナーの仮想変速は、Zwift Cogを使う前提でプログラムされているため、違うスプロケットを使うことで、若干ですが重さなどが変わってしまう可能性があります。
Zwift Cogの種類
Zwift Cogには実は複数のバージョン・種類があり、それぞれ対応するトレーナーが異なります。
バージョン・種類 | 見た目 | 騒音レベル |
---|---|---|
バージョン1.0 | 全てブラック | やや大きい |
バージョン1.05 | 全てブラック | 静か |
バージョン2.0 (Multi-Trainerモデル) | オレンジカバーにZwiftロゴ 中央にフリーボディあり |
非常に静か |
バージョン2.0 (No FreeHubモデル) | オレンジカバーにZwiftロゴ 中央にフリーボディなし ロックリング下に1mmスペーサーあり |
非常に静か |
現行のZwiftr Cogはバージョン2.0です。オレンジのカバーに「Zwift」のロゴが入っているため、オールブラックのバージョン1シリーズと間違えることはないでしょう。
注意したいのは、バージョン2.0には2種類のモデルがある点。
違いはZwift Cog自体にフリーボディが付属するかしないかで、スマートトレーナーのフリーボディごと交換するのが「Multi-Trainerモデル」で、既存のフリーボディをそのままにZwift Cogをスプロケットと交換して使うのが「No FreeHubモデル」です。
バージョン2モデルが「どちらのタイプなのか?」を見た目で判断する際は、「Zwift Cogの中心にフリーボディがあるか(No FreeHubモデルは中心に凹が見える)」で判断できます。
Zwift Cogとスマートトレーナーの互換性
続いて、Zwift Cogとスマートトレーナーの互換性について見ていきましょう。
Zwiftの公式サイトでの記載によると下記の通りになります。
バージョン・種類 | 対応トレーナー |
---|---|
バージョン1.0 | Zwift Hub |
バージョン1.05 | 一部の「Zwift Ready」Wahooトレーナー |
バージョン2.0 (Multi-Trainerモデル) | Wahoo, Zwift Hub, JetBlack, Van Ryselの対応トレーナー |
バージョン2.0 (No FreeHubモデル) | Eliteの対応トレーナー |
Zwiftの公式サイトでは、No FreeHubモデルはEliteのDireto XR、Direto XR-Tのみに対応し、その他のメーカーの場合はMulti-Trainerモデルを使用するように案内[^1]されています。
一方で、2024年12月現在、日本で正規流通しているZwift Cogは、Wahooの「Zwiftクリック + Zwiftコグ アップグレードキット」。
こちらはWahoo用ならば「Multi-Trainerモデル」なのかと思ってしまいますが、製品ページには「Does not include Multi-Trainer freehub body(マルチトレーナー用フリーボディは含まれない)」との記載[^2]があります。
Wahooの「Zwiftクリック + Zwiftコグ アップグレードキット」がNo FreeHubモデルなのか、Multi-Trainerモデルからフリーボディを抜いたものなのかは不明ですが、フリーボディが付属しない以上、スプロケットと交換して使う前提だと思われます。
Wahoo Zwift COG & CLICK UPGRADE PACK
Zwift Cog and Clickと仮想シフトに関して知っておきたいこと
Zwift Cogがないとバーチャルシフトはできない?
Zwift Cog and Clickは「コグと仮想シフトスイッチのセット製品」として販売されていますが、仮想シフト自体は、
- Zwift Click
- Zwift Play(Zwift Rideを含む)
のどれかがあればZwift上で利用できます。
しかも、仮想シフト自体にZwift Cogは必須ではないようで、既存のスプロケットで14Tに入れればZwift Cogと同様に動作する(しかも、Zwift Cogより静か)というユーザーレポートもあります。
ただ、日本ではZwift Playは未発売ですし、Zwift Clickの単体売りもない(公式サイトにはある)ため、実質的にZwift Cog and Clickをセットで買う必要があります。
また、Zwift Cogにはチェーンラインを調整する機能も付いているため、より静かに、ディレイラーでのパワーロスを少なくしてトレーニングできるというメリットがあります。
Zwift Cogの24速のギア比はどうなっている?カスタムできる?
Zwiftの仮想シフトは24段変速と言うことだけが公表されていて、詳細なギア比は公式発表されていません。
ただ、Zwift Insideによると、Zwiftの仮想シフトは以下のようなギア比になっているとしています。
ギア段数 | ギア比 |
---|---|
1 | 0.75 |
2 | 0.87 |
3 | 0.99 |
4 | 1.11 |
5 | 1.23 |
6 | 1.38 |
7 | 1.53 |
8 | 1.68 |
9 | 1.86 |
10 | 2.04 |
11 | 2.22 |
12 | 2.40 |
13 | 2.61 |
14 | 2.82 |
15 | 3.03 |
16 | 3.24 |
17 | 3.49 |
18 | 3.74 |
19 | 3.99 |
20 | 4.24 |
21 | 4.54 |
22 | 4.84 |
23 | 5.14 |
24 | 5.49 |
参考: Gearing Details - All About Virtual Shifting in Zwift | Zwift Insider
この数値から分かる通り、Zwift仮想シフトは「フロントシングル x リア24段変速」のように動作します。
ギア比で見ていくと、Zwift仮想シフトの3〜22段が、2x12変速(フロント52T/36T、リア11T/36T)のバイクに近いギア比になっているため、ほとんどのロードバイク・グラベルバイクユーザーのニーズをカバーできます。(このギア比率で足りないと言うのは、フロント30T/リア51Tなど使う、MTBライダーくらいでしょう。)
また、仕組み的には「トレーナーの負荷を変えるだけ」なので、もっと重いギアや軽いギアを設定することも可能なはずですし、将来的にギア比のカスタマイズもできるようになるかもしれません。
Zwift以外のトレーニングアプリで使える?
Zwift Cog & Clickにより仮想シフトは、仕組みとしては「設定ギア比に合わせて、スマートトレーナーの負荷を変える」だけなので、アプリ側が対応すれば使えます。実際に一部のアプリはZwift仮想シフトに対応しているようです。
また、Zwift Cogを取り付けると、非対応アプリでトレーニングする際に変速ができなくなってしまつというデメリットがありますが、Zwift Cogを取り付けた状態でも、ERGモード(自動負荷制御)であれば使えるというレポートがあります。
そのため、Zwift Cogを取り付けた状態のまま、Zwift以外のアプリでトレーニングをするのであれば、「変速しない、ど平坦コース」か「ERGを使うワークアウト」を利用することになります。
[^1]: Zwift Cog and Click Upgrade Kit [^2]: Zwiftクリック + Zwiftコグ アップグレードキット | Wahoo