ロードバイクのトレーニングで出てくるパワーって何?

ロードバイクのトレーニングでよく出てくるのが「パワー」という単語。今回は、ロードバイクにおけるパワーの意味やローラー台トレーニングでの使い方、導入するメリットをまとめました。

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ロードバイクにおけるパワー(ワット)とは?

パワーは、ロードバイクなどの自転車に乗車するライダーの走行力を表す指標です。

ロードバイクでパワーを計測する指標はいくつかありますが、代表的な指標は、

  1. FTP(Functional Threshold Power)
  2. PWR (Power Weight Ratio)
  3. NP (Normalized Power)

の3つです。

ロードバイクトレーニングの話題で出てくるのは、FTPとPWRの二つが多く、トレーニングアプリの指標として出てくるのも多くがこの二つなので、初心者の方はまずここを知っておけば良いでしょう。

FTP(Functional Threshold Power)

FTPは1時間維持できる最大パワーの平均値。これは単純な1時間ライドの平均ワットではなく、「1時間走り続けて最後にピッタリ体力の限界となるパワー配分で走った時の平均値」という厳密な数値です。

ある程度トレーニングを積んだ人は1時間走でFTPを計測できますが、初心者の方の場合は「20分全力走テストx0.95」などで簡易的に算出することもできます。

PWR (Power Weight Ratio)

PWRはFTPを体重で割った数値です。

自転車は自分の体重をペダルに乗せて推進力を生むため、パワーは体重がある方が出やすくなります。つまり、「同じパワーでも体重が違えば力が違うよね」ということになるので、そこで利用されるのがPWRです。

例えばFTPが100Wの場合、体重が50kgの人は2.0w/kgですが、体重が100kgの人は1.0w/kgと半分になります。

NP (Normalized Power)

NPはトレーニングで出したワットを、トレーニングの内容に合わせて平均化させた数値です。

同じトレーニングでも、アイドリング走が長いのか、本気のスプリント走が長いのかで平均値は大きく変わってしまいますが(アイドリングが長い方が平均は下がる)、NPではそうした長さの平均とは関係なく、身体にかかった負荷を平均ワットで算出します。

ローラー台トレーニングにパワーは必須?

パワー指標を導入するメリットはある

ローラー台トレーニングに限らず、ロードバイクでトレーニングやサイクリングをする時には、「今日はこれくらい頑張ったぞ」という指標があることで、目標を決めたりモチベーションを高めることができます。

トレーニングの目標としてパワーを使うと、トレーニングの負荷や自分の強さが明確な数字になるのでわかりやすいというメリットがあります。トレーニングの強度の調整にも使いやすくなります。

また、前回よりも5Wでも平均パワーが上がっていれば、想像以上に「明日も頑張ろう」というモチベーションになります。

パワーは必ずしも必要ではない

ただし、ロードバイクやローラー台トレーニングをどのように楽しみたいのかによっては、パワーがあまり参考にならないこともあります。

例えば、とにかく遠くまで走りたいという人は5時間とか10時間とか走り切る体力が必要ですが、これはFTPなどの短時間パワーを計測するトレーニングでは培われません。スローペースでも良いので、実際に外を長時間走る方が大事です。

また、初心者の方は、そもそもローラー台で20分の全力走をすること自体が難しい(体力的に20分も漕ぎ続けられない)こともあるので、そうした方は「ローラー台で15分走る」とか「10km走る」といったシンプルな目標で、まずは数ヶ月続けてみるのが良いでしょう。

より効率の良いトレーニングをしたいなら導入しよう

ロードバイクやローラー台でのトレーニングに慣れてきたら、パワー指標を導入を検討してみても良いでしょう。

というのも、ローラー台トレーニングは慣れてくると「今日の負荷は高かったのか、低かったのか?」という数値が曖昧になってきます。例えば、1回で20km走るというトレーニングでも、前回よりも数分・数秒遅かったり速かったりするだけだと、成長しているのかが体感しづらいのです。

その意味では、ワットはテストの点数みたいな感覚で捉えることができるので、積み上がっていく指標があることで、確実な目標を設定することができますし、モチベーションアップにも繋がります。

トレーニングアプリのパワーはどうやって使う?

Zwiftなどのトレーニングアプリを使っているとアプリ上に現在のパワーやPWRなどが表示されますが、これらの指標は参考程度に使いましょう。

現在のパワーについては「どれくらい出てるかな?」という参考にはなりますが、FTPなどのライダーの潜在能力を示したものとは違います。ロードバイクは長距離走なので、瞬間的に400W出たとしてもゴールまで体力が持たないと意味がないので、瞬間的なパワーよりも同じパワーを維持する方が大事だからです。

また、アプリ上のPWRもあくまで参考値として見ましょう。PWRはFTPを体重で割るので、FTP(20分の全力走 x 0.95など)がしっかりと計測されていないと厳密にはPWRではないからです。

パワーは自分だけの指標。無闇に比較する必要はない

ローラー台トレーニングではパワーは成長のための指標の一つでしかありません。ですので、誰かよりもパワーが劣っていたとしても気にする必要はありません。自分が少しずつ成長するために、トレーニングの過程で積み上げていく数値としてパワーを使いましょう。

ロードバイク界隈では「自分はFTP200だ」と言ったパワー自慢大会が行われることがありますが、その時、そのトレーニングの指標で張り合っても意味がありません。たまたま体調が良かったり悪かったりと、パワー数値は変わることがあるからです。